マイクロフォーサーズ規格とは、オリンパスとパナソニックによって作られたレンズ交換式カメラの規格です。
各社の一眼レフにはレンズの取り付け(マウント)にそれぞれ規格があります。例えばキヤノンだとEFマウント、ニコンだとFマウントといったものです。 オリンパスとパナソニックは、それまであったフォーサーズ規格に改良を加え、2社協力してマイクロフォーサーズマウントを生み出しました。
マイクロフォーサーズ規格は2008年8月5日に発表され、同年10月30日にはパナソニックからLUMIX DMC-G1が1号機として発売されました。
他のカメラメーカーのレンズマウント(規格)は、フィルム時代のレンズがそのまま使えるように共通化した設計で作られていいます。一方、マイクロフォーサーズはデジタルカメラに特化した設計のため、様々な利点があります。
まず、マイクロフォーサーズの最大の特徴はカメラからミラー機構を取り外したということです。(いわゆるミラーレスという呼び名はここから来ています。)
ミラー機構がないことにより、従来のカメラと比べて圧倒的に小型化することができます。
次に、小型で画質に優れたレンズです。
撮像素子をマウント径に比べて大きなサイズにしていないため、レンズの設計に無理が生じにくい規格です。
マイクロフォーサーズのレンズでは、全般的に絞り解放でも画質の劣化が少ないという特徴があります。
これまでにマイクロフォーサーズ規格には、オリンパスとパナソニックの2社に加えて、ライカ、コシナ、カール・ツァイス、駒村商会、シュナイダー・クロイツナッハ、タムロン、シグマ、ケンコートキナーなどの多くのレンズメーカーが続々と参加を表明しています。
老舗カメラメーカーのオリンパス、トップ家電メーカーのパナソニックがタッグを組んで日々技術の向上と新製品の開発に励んでいるマイクロフォーサーズは今、最も注目されているカメラマウントです。
マイクロフォーサーズは、オリンパスの一眼レフの規格フォーサーズを小型化した規格です。
フォーサーズというのは英語で3分の4という意味で、撮像素子の対角のインチ表記の長さを表しています。(いろいろあって正確に4/3インチではありませんが)
※) 撮像素子とは:光の情報をデジタルデータに変換するイメージセンサで、フィルムカメラにおけるフィルムのようなものです。
マイクロフォーサーズより大きい撮像素子は、フルサイズ、APS-Cなどと名前が付いています。
これらはフィルムサイズからの名残でその名がついていて、例えばフルサイズだと35㎜版フィルムのサイズと同じ大きさです。
マイクロフォーサーズはフルサイズのちょうど半分の長さの撮像素子です。
マイクロフォーサーズより小さい撮像素子は一般的にはインチで表されています。
2/3や1/2.4などが一般的なコンパクトデジカメのサイズになります。
一般的に撮像素子が大きい方が、ボケが作りやすく、画質も優れていると言われています。
ただ、その分撮像素子の大きさに比例してレンズも大きく重くなってしまいます。
マイクロフォーサーズは、小型化と高画質という対立する要素をバランスよく両立するため、ちょうどよいサイズとして選びだされた規格です。
マイクロフォーサーズはそれまでの「一眼レフ=大きくて重い」という図式を打ち崩しました。
パナソニックとオリンパスは、カメラ業界に「マイクロ一眼」「ミラーレス」というジャンルを確立し、瞬く間に市場に浸透しました。
その後、マイクロフォーサーズを追いかけるべく、各社から続々とミラーレスカメラが発表され、今では小型一眼市場がカメラでもっともホットなカテゴリーになっています。
当初、マイクロフォーサーズは、撮像素子が小さいということで、従来の一眼レフに比べて画質が落ちるのではないかと批判も多くありました。
確かに最高級のレンズで厳密に比べると、従来の一眼レフよりも不利な点もあります。
ただし、マイクロフォーサーズには、デジタルに特化したマウント、撮像素子とマウントのバランスのよさといった利点があります。
それらの特徴から、小型で性能のよいレンズを設計できます。
マイクロフォーサーズの特色のひとつである小型のレンズ群を、シチュエーションに合わせて使えば、従来の一眼レフにも劣らない画質の写真が撮ることができます。
また、何より小型軽量化なシステムは、今まで一眼レフを持ち歩けなかったようなシチュエーションでも気軽に持ち出せ、シャッターチャンスに強い規格と言えます。
・ペンタ部が不要なため、カメラのデザインの自由度が高い。
・レンズがコンパクトに設計できるマウント規格。
・マウントの特性から、レンズは解放から描写に優れたものが多い。
・デジタル専用設計のため、カメラとの組み合わせでよりよい画質を追及している。
・フランジバックが短いため、マウントアダプターを使えばライカなどのオールドレンズが使える。
・パナソニックとオリンパスの2社規格のため、レンズラインナップが豊富。
・光学式のファインダーが搭載できない。
・オートフォーカスがコントラスト式のみで、動きものの撮影は従来の一眼レフより劣る。(動かないものに関しては位相差方式とほとんど差はなくなった。)
・高感度撮影でノイズが乗りやすい。(かなり進化している)
デジカメWach 【インタビュー】オリンパスに聞く“マイクロフォーサーズ”の狙い
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/08/11/9015.html
オリンパスイメージングSLR事業本部長(当時)の小川治男氏へのインタビュー